2007.06

北海道 網走

「あばしり湖鶴雅リゾート 北天の丘」

Task

総合プランニング/コンセプトワーク/ロゴデザイン/内装・意匠設計/サインデザイン

レストラン器デザイン/室内着・制服デザイン/販売ツールデザイン/家具・備品コーディネート

オホーツク浪漫

続縄文時代、オホーツクの海を渡ってきた異民族が、この北の地に勇壮な文化を築き、その足跡もかすかに去っていきました。アイヌ民族とも異なる北方民族がこの地に先住していたのです。司馬遼太郎の「オホーツク街道」の中に北天を駆け抜けたオホーツク人という言葉を見つけ「北天の丘」と名ずけ、オホーツクの海と大地に浪漫をテーマに、このホテルを立ち上げていきました。オホーツクの海の象徴として鯨、大地の象徴として大鷲をマークに取り入れました。いずれもこの土地に生息しつつも希少生物となっていますが、時折オホーツクの海に悠々と姿を現してくれます。なんと大きな懐を持った自然の力があるのだろう、この土地の文化の潜在力をもっと引き上げていかなくてはと思いました。

オホーツク人は沿岸に住み、アイヌ人は川岸に住み、住み分けをしていたと言われます。このホテルにはオホーツク文様を多く用いました。その文様は、アイヌ文様に影響を与えて行ったと思われます。文化は、この北方においてアイヌ人に引き継がれ、また私たち縄文という固有の民族に北方の血が若干でも混じっていったと思うとあらためて歴史の浪漫を感じるのでした。

網走には、流氷と網走刑務所が大きな観光要素でした。しかし、北方民族が残したオホーツク文化を取り上げることで、網走市に縄文土器が描かれたバスが通り、オホーツク文化が新たな観光を生み出していくことになりました。

ラウンジに通じる壁は、続縄文時代に生きた海獣狩人であるオホーツク人への思いを小さな石粒や草を混ぜた素朴な土壁に表してみました。

オホーツクの海と大地を駆ける鯨と大鷲の木彫を配したラウンジ。暖炉やバーカウンターにはオホーツク文様を配しました。
ライブラリーにはオホーツクに関する資料や石器などが飾られています。シガーバーなどのサインは鹿の角で作られています。

オホーツクの悠々と広がる丘が見渡せる客室。廊下や建具にもオホーツクのイメージを表しています。

PAGETOP↑