杢の温もり

2013.07

北海道 ニセコ

「昆布温泉鶴雅別荘 杢の抄」

Task

総合プランニング/コンセプトワーク/ロゴデザイン/内装・意匠設計 /サインデザイン

レストラン器デザイン/室内着・制服デザイン/販売ツールデザイン /家具・備品コーディネート

杢の温もり

ニセコ近くの昆布温泉は、蘭越町(らんこしちょう)にあり、ニセコ温泉郷のひとつです。蘭越町は、アイヌ語の「ランコ・ウシ」が訛ったもので、「桂の木の多い所」という意味だそうです。この昆布温泉は、美人の湯として有名で温泉地として栄えたところです。しかし、ニセコの中心地とは異なり、さらに山深く海外のスキー客で賑わうような地域ではありません。昆布温泉の由来の一つにアイヌ人が山道に迷わないように昆布を木に縛り付けて目印にしたという話があります。

逆に、山間ならではの静かで落ち着いた雰囲気と良質な温泉、温かみのある和空間は、日本人だけでなく海外の人にも癒しを与えることができるのではないかと考えました。

蘭越町の由来にも則り、時を経ても絶妙な味わいを表す「杢」の意味をこの館に込めて「杢の抄」と名づけました。そして、ニセコ周辺の地元食材を生かした料理を軸に、北海道らしさのある和風旅館をつくりました。

昆布温泉「杢の抄」は、羊蹄山を眺めつつ、さらに山深く入っていったところにあります。羊蹄山はアイヌ語でマチネシリ(女の山)、その形から蝦夷富士と言われます。

足湯のあるデッキをつくり、滝の音と鳥の鳴き声と共に秘境を楽しみます。

杢の抄のマークを木彫作家、滝口政満氏に彫り込んでもらった玄関扉。

杢の抄のエントランスやラウンジは木材を豊富に用いました。壁は、青森ヒバの無垢材に5色の塗装を施し味わいのある意匠にしました。
ヒバの壁を照らすキャンドル照明、フロント後ろの漆塗のへぎ板、鍛鉄のオブジェ、屏風、暖炉フードなどはオリジナル制作です。

地元食材を生かした懐石と鉄板焼きの料理屋「松籟」。アイヌの人から譲り受けたトンコリや木彫を和のしつらえの中で使っています。
料理は山里料理とし、器はクラッシックな和風感に北海道らしいダイナミックさ加えた組み合わせにしました。

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